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ビジネスで「How are you?」を使わないは“ウソ”

オフィスワーカー同士の挨拶

 “英語での定番の挨拶”と言うと、多くの方が「How are you?(調子はどう?ご機嫌いかがですか?)」や「How are you today?」と言う英会話フレーズを思い浮かべるでしょう。

 しかし、この「How are you?」と言う日本で(日本人にとって)余りにも有名な挨拶フレーズが、何と、「ビジネス英会話では使用されない」と言う事を掲載した雑誌や記事を見かける事が多くなりました。

 「“How are you?”がビジネスシーンで使用されない!?」と言う余りにもセンセーショナルな内容に、“既に仕事で英語を使用されている方”も「驚きを隠しきれないのでは?」と想像致しますが、ここでは、ビジネスにおける「How are you?」と言う挨拶について言及してみたいと思います。

「How are you?」は距離を持った表現

 そもそも「How are you?」と言う表現は、「What's up?」や「How is it going?」それに「How are you doing?」と言った日常に友人同士の挨拶として使用されるフレーズと比べると、「フォーマルなイメージ(堅いイメージ)」を相手に与える英語表現になります。

 そのため、使い方によっては、少し相手に対して“改まった表現”や“構える表現”となり、「相手との間に垣根を作ってしまう事の有るフレーズ」となる事が有ります。

 ビジネス雑誌や英語関係の記事などで、「“How are you?”をビジネスシーンで使ってはいけない」や「“How are you?”は英語のネイティブスピーカーは使わない」と言った内容で書かれているのは、その「“How are you?”が距離を持った表現」と言う一面を切り取ったためです。

 しかしながら、実際のところは、ビジネス雑誌等で紹介されているこれらの内容は“ウソ”とまでは言いませんがが、一部のビジネスシーンを切り抜いただけのものであり、“How are you?”と言う表現は現在でも“圧倒的にビジネスシーンで使用されるケースの多い英語での挨拶”なので安心して頂ければと思います。

ビジネス雑誌等での英語に関するコラム

 雑誌やインターネットなどで“ビジネス英語”に関するコラムなどは、どうしても“売り上げが必要”なため、「インパクトの強いタイトル」を付けたがる傾向があります。

 そのため、中身を熟読してからタイトルの意味を判断するようにしないと、英語表現の本質を見失ってしまう事があるので注意が必要です。

ビジネス英語が使われるシーンは狭く無い

沢山のオフィスワーカー達

 先ほどまで、“How are you?”をビジネスシーンで使用する事について、「相手との間に垣根を作ってしまう事の有る」と紹介してきましたが、恐らくは、ビジネスシーンにおいては「“How are you?”と言う表現を使うシーンばかり」と言う現場の環境について、“全く知らない方”が執筆されているため、「“How are you?”はビジネスシーンで使わない」と断言してしまう事態が広がってしまっています。

 もう少し分かりやすく言い変えると、英語は“言葉”なので、その時の“状況”や“その言葉を発するまでの流れ”が大変重要視されるため、その時に話している人が、「空気が読める人」と「空気が読めない人」、もしくは「その人の人柄」によって、同じ英語表現を使ったとしても意味が大きく変わってきます。

 このように英語は言葉なのでバックグラウンド(背後関係)を意識する難しいものなのですが、続いては「なぜ“How are you?”が挨拶として使われるのか?」と言う核心について、具体的なシーンを紹介しながらその理由について迫ってみたいと思います。

会社の上司に対しての挨拶

 良く英語コラムなどでは、英語のネイティブスピーカーに対して「仕事で“How are you?”を使いますか?」と言う質問をして、その回答例などを参考に「“How are you?”を使わない理由」を解説しているものを見かけますが、その回答で多いのが、やはり「仕事上で相手との垣根を作りたくないから“How are you?”は余り使わない」と回答が主になります。

 会社(職場環境)によっては、“会社の上司との関係が良好である場合”を条件として、上司に対して「How is it going?」とフランク(インフォーマル)な表現を使う事は珍しくありません。

 しかし、これがもし“会社の上司の上司”、つまりは会社を代表するような、普段の仕事中に滅多に会う事が無い上司が職場にやってきて挨拶を交わす際、「What's up?」と言った表現を使ってしまったらどうなるでしょう?

 もし、この表現を使った人物が、「高い営業実績等が有り、周りからも高い人望を得られているような、自信に満ち溢れる会社のエリート社員」で、さらに「空気を“かなり”読める」と言うのであれば、「What's up?」で十分乗り切れるでしょう(むしろ相手から好印象を受けるケースも)。

 ところが、残念な事に多くの人はそう言った「エリートと呼ばれる人物」でも無ければ、「完璧に周りから信頼を得られているような人望の厚い人物」でも有りません。

 特に、第二言語として英語を学習された方の場合には、英語の微妙なニュアンスに対する解釈が難しいため、正直な話、下手に「インフォーマルな英語表現」を使って、「自分は空気が読めませんよ」または「私は英語が得意ではありませんよ」と、ワザワザ自分から勝負に出て上司にネガティブ材料を与える事の方が危険です。

 また、海外を相手に働らいている方ならばお分かりになられると思いますが、日本人である事の最大の売りである「礼儀正しい」や「上下関係を分かっている」と言ったところを、“上司にアピールしない(伝えない)”と言う点についても、最終的にはマイナス材料となってしまう事でしょう。

 つまり、こう言った「挨拶によるマイナス材料」を排除する意味を考えても、やはり挨拶に“How are you?”を使う方が、日本人にとっては高評価を得られやすい「ビジネス英語」と言えるでしょう。

接客時の挨拶の場合

 次に、ワーキングホリデー等で海外に出られる方の場合、最も多い「接客時の挨拶」についてですが、これも「その時の状況」や「相手の年齢・性別」によって大きく変わってきます。

 例えば、比較的高級な寿司レストランでウェイター(サーバー)として働いている時、身なりもキッチリとしている“年配の夫婦”と思われる方がお客さんとして来店してきました。

 その場合に、「How is it going?」とフランクな感じで第一声を相手に対して切り出す事は果たして正しいでしょうか?

 恐らく多くの方は「Hello!! How are you today?」と言う表現の方が“しっくり来る”と言う事を、直感的にしても理解して頂けたのではないかと思います。

 逆に、カジュアルファッション店などの“ショップの店員”として働いているのであれば、多くの場合おいて買い物をしにやってくるお客さんは“軽く話しやすい空気”を持った方が中心となるでしょう。

 そう言った場合には、「Hey! What's up?」と切り出し、親しげに相手に対して話しかける事で、「How are you?」と堅苦しく切り出すよりも、相手の懐へと飛び込みやすくなり、それは「売り上げ」へと跳ね返ってくる事になるでしょう。

 つまり、ビジネスイングリッシュレベルになると、“ただ英語を使うのではなく”、“時と場合を読み、その状況に合わせた英語の使い分ける”事が必要になります。

 そこで、雑誌等で紹介されている「ビジネス英語では“How are you?”とは使わない」と言った、仕事の幅や状況について全く想定されていない内容については忘れて頂き、「どのような場合に“How are you?”を使うのか?」を考えるようにすることで、「自分の英語に幅を持たせておく事」をオンライン英会話ガイドではお勧めさせて頂きたいと思います。

「What's up?」と切り出せる才能

 ある意味、「What's up?」と上司に切り出して、相手が“イラッ”としない空気を持っている方と言うのは、ビジネスにおいて「凄い才能の1つ」と言えます(正直うらやましい(笑))。

 ただし、多くの方はそう言った“才能”を持ち合わせていないので、「“What's up?”と切り出だす事ができるか?」と、常に空気を読みながら仕事をしていく事で、欧米の“タイミング”や“ノリ”を理解していく内に、段々と“使い時”が分かってくるようになります。

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